クロールは四泳法の中で一番スピードが出て、なおかつ効率の良い動きなので最も長く泳ぐ事が可能です。
そして、何と言っても一番最初に習う泳ぎ方で最もスタンダードな泳法です。
とは言え、しっかりとした正しいフォームで泳げている人はそんなに多くはないのではないでしょうか?
思うように進まなかったり、すぐに疲れてしまったり、すぐに苦しくなってしまったり・・・
これらは間違ったフォームで泳いでいる事が原因です。
正しいフォーム・理想的なフォームを覚え、疲れずラクに・スイスイと速く・スムーズに進むクロールを身に付けて下さい。
クロールのフォームを構成している要素
クロールは手の搔き(ストローク)、ローリング(傾斜)、バタ足(キック)、呼吸(息継ぎ)からなる4つの要素で構成されています。
それでは各要素別に解説していきます。※解説末尾には動画もございます。
まずはストローク(手の搔き)について解説します。
クロールのストロークの各局面
クロールのストロークは細かく分けるとエントリー、キャッチ、プル、プッシュ、フィニッシュ、リカバリーという局面があります。これらの局面を学ぶことで泳ぎ方が格段に変わってきます。
エントリー(入水)
ストロークの一番最初の局面です。
エントリーは入水という意味です。
コツは手のひらをやや外側に向けて、親指から入水する事です。
入水時の手の角度は水面に対して45度が理想です。
指と指の幅は少し開ける程度
キャッチ(水を捉える)
エントリーの次はキャッチという局面です。
キャッチは水を捉えるという意味です。
また、ハイエルボー(肘を高い位置に保つこと)を意識します。
エルボーダウン(肘の位置が下がる)にならないようにハイエルボーを保ちます。
ハイエルボーを意識しよう。
キャッチでは、ハイエルボーで肘を高く保つ事が重要です。そうする事で水を多く捉える事ができるようになり、推進力に繋がります。
肘の位置が下がってしまうと、水を捉えられず推進力も減ってしまいます。
プッシュ、プル(水を搔く)
ここからはストロークの後半局面に入ります。
プッシュはキャッチした水を後方に押すという意味です。
プルは水の搔きという意味ですがプッシュと同義で捉えて下さい。
プッシュのコツは肘を曲げてキャッチした水を後方に押し出すイメージで搔いてください。この際に反対側の腕(伸ばしている方の腕)を前方に持っていくようにすることも推進力を向上させる大事なポイントです。
フィニッシュ
フィニッシュはストロークの最終局面です。
プッシュあるいはプルで押し出した手が太もも辺りに来て、水中から手を抜きだそうとしている局面です。
フィニッシュのコツは肘を曲げたまま後ろに搔き切って、小指から水面へと抜き出すことです。
リカバリー
リカバリーはフィニッシュからエントリーへと、次のストロークに繋げる局面です。
水中から水面に手が抜き出た辺りからエントリーまでの間で息継ぎもこの時に行います。
コツはハイエルボーを保ったまま手を小指から水面に抜き出して顔を横に向けて息を吸い、反対側の手はエントリー。これがリカバリー前半の動作です。リカバリー後半では顔を水面に戻し、反対側の手はキャッチで水を捉えるようにします。
ローリング
クロールは、ローリングを取り入れる事によって更にスムーズに進む事が可能となります。
ローリングも一応、ストロークの局面に入りますが手の搔きではありません。ローリングとは、水を搔く際に身体を水面より45度に傾ける事によって推進力を増す動作です。
身体を水面より45度に傾けるとは、右肩が上がっている時には左肩が下がっており、左肩が上がっている時は右肩が下がっている。45度の傾きを右左交互に行う動作。
言わば、身体の反動を上手に使って泳ぐ方法とも言えるでしょう。
クロールにローリングを取り入れるのと取り入れないのとでは進み方が全然違う訳です。
ローリングを取り入れるタイミング
プッシュと同時に身体を45度に傾けます。
ローテーション
ローテーションとは左右の腕の入れ替えの事を言います。
ローテーションのタイミングがズレると正しいストロークを行っていたとしても推進力は得られません。
右手のリカバリー時、肩の位置が前に来るときに左手の搔きに入るのが正しいタイミングですが手が肩の位置に来る前に搔き始めてしまうとちょっとタイミングがズレてしまうので気を付けて下さい。
クロールのストロークを動画で学ぶ
出典:speedo
クロールのキック
クロールのキックはバタ足で行います。
左右の足を交互にキックして推進力を得る事ができます。
ストロークで7~8割の推進力を生むのに対してキックでは2~3割程しか生まないと言われますが疎かにしてはいけません。上手なキックが打てるようになる事でストリームライン姿勢の保持や正しいストロークの行い方に貢献しますので美しいコンビネーション(ストロークとキックの組み合わせ)で泳ぐ為にもしっかりと習得しておきましょう。
上達の為にスイミングスクールではキックボード(ビート板)でキックの練習をします。
キックのポイント
- キックは太ももの付け根から行い、膝から下、足首へと、ムチがしなるようにしなやかにキックする。
- キックの振り幅は小さく小刻みに行う。膝関節は曲げすぎるとダメ。
- 中殿筋に力を入れる。そうすれば足が下がらずに済みます。
- 足首は力を抜いて柔らかく。そうすればムチのような足の使い方が可能になります。
クロールのキックは6ビートキックが基本です。
ビートの意味は、1ストロークする間に何回のキックを打つか?という意味になります。
一般的な6ビートキックとは、1ストロークの間に6回のキックを打つという意味です。
2ビートキックもありますがこちらはキックによる体力の消耗が少なく、長い距離を泳ぎたい時に最適です。
- 6ビート:速く泳ぎたい時。水泳短距離に最適
- 2ビート:長く泳ぎたい時。水泳長距離に最適
4ビートもありますがこちらはタイミングが難しく、あまり汎用的ではありません。
クロールのキックを動画で学ぶ
出典:speedo
息継ぎ・呼吸
クロールでの呼吸は慣れていない方にとっては難しく思えるかもしれませんが一度習得してしまえば無意識に出来るようになります。
良く、アップアップしながら必死に息継ぎをしている人を見かけますがあの呼吸法だと息苦しいので25m泳ぐのがやっとでしょう。
正しい息継ぎを覚える事でラクに泳げるようになるので長く泳ぎたい場合、正しい息継ぎは必須の技術となります。
息継ぎのコツは、エントリーと同時に鼻から息を吐き続け、フィニッシュからリカバリーの際に顔を横に向け、息を吸い始めて、リカバリー中盤で思いっきり吸うようにします。
顔を無理やり上げてしまうと水の抵抗を受けてしまうのでローリングに合わせながら顔を横に向ける形で自然に息を吸うようにすれば上手くできます。
うまく息継ぎが出来ない場合、水面上でも息を吐いている為、吸えないというパターン、顔を横に向けるのではなく顔を上げようとして息をしようとしている為下半身が沈んでしまいってうまく進めないというパターンが考えられます。
クロールの息継ぎを動画で学ぶ
出典:speedo
まとめ
いかがでしたか?
ここでは、クロールの泳ぎ方の基本を構成要素別に解説しました。
ただ漫然と泳いで練習するよりも、ここで解説したフォームの各動作を知り、意識して泳ぐ事で必ずや模倣となる正しいクロールに近づくのが早くなります。
私自身、水泳を初めて間もない頃は独りよがりのフォームでしたが一念発起して正しいフォームを身に付ける事を決意し、書籍を読み漁り実践して身に付けていく事で以前よりも断然ラクに、速く、長く泳ぐ事が出来るようになりました。
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